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遠赤外線とは?

赤外線の発見

 アイザック・ニュートン(1642〜1727年)が、ガラスプリズムを使って光を分解し7色の光を発見した。後にフレデリック・ウイリアム・ハーシャル(1738〜1822年)が7色の光に加熱作用がある事を発見。

赤→橙→黄→緑→青→紫の内、赤が最も加熱作用がある事が確認されたが、さらにその外の方が加熱作用が大きい事が解り、目には見えない加熱作用の高い光がある事を発見。

赤より下にある光線という意味でインフラ・レッド・レイ(赤外線)と名付けられたのが最初と言われています。


さらにその後ヘルツの実験によって、遠赤外線は光速と等しい事が解り、それはすなわち、電磁波の存在を同時に証明した事でもありました。


赤外線は更に、近赤外線0.8μ〜1.5μ、中赤外線1.5μ〜3μ、遠赤外線3〜1,000μとに分けられます。

近年NASAの研究により、遠赤外線の中でも人体に有効な作用があるのは8μ〜14μの波長である事が解りました。


その有効な作用とは、身体深部に浸透、内部で発熱、体を芯から温める、というものです。  

その結果、微細血管の拡張、血液循環の上昇、新陳代謝の上昇の効果が認められ、健康に良い事が解かったのです。


遠赤外線の特徴

*熱の移動は必ず高い方から低い方へ移動する。

*熱損失が少ない。

*吸収される物質の分子振動数(波長域)が同じであるものに吸収され、波長が異なる物質へは熱を吸収しない。

 

遠赤外線の熱の吸収とは

水の場合;水の分子H2Oの分子配列は、H—O—Hで、OとHは原子で、—は結合格子といいます。

結合格子は伸縮し固有の振動数(固有振動)を持っています。また分子は隣り合う原子間の軌道電子の位置関係によって規則的な振動(基準振動)を行っています。


遠赤外線の吸収とは、これら分子の振動、回転、周期によって左右され、共鳴する事で吸収率が変わります。これを『共鳴・吸収現象』と呼び、その結果、熱エネルギーに変換されます。


物質を構成する分子内では原子同士の距離の『伸縮』『変角』『回転』等の運動があり、固有の振動数があります。そこへ同じ振動数の光(遠赤外線)が照射されると『共鳴・吸収現象』が起こり、原子間の結合格子の運動が激しくなります。この運動エネルギーが熱にかわり、このとき初めて加熱作用が起こるのです。


遠赤外線の計算

遠赤外線はどんな物質からも出ているが、絶対零度(−273.15℃)以下では放射されない事が解っており、ヴィーンの変位則(2898)を用いて下記の式で求める事ができる。


2898÷(273+表面温度)=波長 


例) 人体(体温36.5 ℃)から放射されている遠赤外線の波長は;

   2898÷(36.5+273)≒9.4μ となります。


ヴィーンの変位則( Wien's displacement law)とは、黒体からの輻射のピークの波長が温度に反比例するという法則である。ヴィルヘルム・ヴィーンによって発見された。慣例的には英語読みでウィーンの変位則と呼ばれる。

ここで は黒体の温度(K)、 はピーク波長(m)、 は比例定数で

2.8977729(17)×10−3 K·m

である[1]。CGS単位系では 約 0.29 ㎝·K である。物体の温度が高ければ、放射される波長は短くなる。例えば、太陽の表面温度 5780 K の場合ピーク波長は 500 nm にある。


例) 白熱電球をみると、温度の低い時、黄色っぽい光になりさらに温度が低い時赤くみえる。(Wikipediaより)


薪ストーブと吸収体としての人体

ちなみに蓄熱ストーブと鋳物ストーブの表面温度から放射されている遠赤外線は、表面温度から計算すると、下記の様に約90℃以下の時、人体に有効な波長が放射される事が判ります。


300℃=5μ 200℃=6μ 100℃=7.8μ 90℃=8μ 50℃=8.9μ


遠赤外線の高効率吸収体は酸素や水分である事は解っており、60%〜70%ほど水分でできている人体もまた良い吸収体である事は明白です。


しかしここで重要となるのが、遠赤外線は全ての領域で心地よく人体に有効な作用を与える訳ではない事です。人体にとっての吸収率が高くなる波長は、3μから1,000μ迄の遠赤外線の波長域の8μ〜14μ迄という、非常に幅の狭い範囲内である事は、前記のNASAの研究結果に報告されています。そしてその波長の遠赤外線は皮膚表面の水分にほぼ90%吸収されます。


そして皮膚表面にある暖められた血液が体中を巡る事により、人は『芯から暖まった。』『陽だまりのような心地よい暖かさ。』と感じるのです。


では暖房機器としての薪ストーブから8μ〜14μの遠赤外線を放射させるにはどのようなクラッディング素材が適しているのでしょうか?


蓄熱ストーブの蓄熱材やクラッディング(外装材)の素材として、セラミックスや天然石といった天然素材が原料として使われています。何故なら、その構成分子には酸化化合物が多い為です。セラミックスや天然石には、無機珪酸(石英)、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(長石)(アルミナ)、酸化カリウム(長石)等の酸化鉱物が多く含まれており、それは遠赤外線の良い吸収体であり同時に放射体でもあるのです。

更に蓄熱ストーブは追加の薪を投入しなくても長時間安定した輻射熱が得られます。 

その安定した放熱からは8μ〜14μの遠赤外線の波長域にぴったり当てはまります。

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